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6.18.2008

マルクスの再生産表式はわりと正しい

(注:この投稿にはスプーン一杯程度の偏見が入っています)

カール・マルクスの資本論は文字通りの大著である。本人があの本を手に持てばまさにFinal Fantasyの学者斯くなり也といった感じである。その資本論の中で資本の生産・流通を説明する部分で再生産表式というものが出てくる。労働により生産される財を生産財Iと消費財IIの二つに分け、それを実現するための資源を可変資本v 不変資本c 剰余価値m の三つに分ける。マルクスが云うには、生産された財Iが財IIの生産手段でなくてはならず、そのために財IIの生産に費やされる不変資本が財Iの生産価値と等しくなる状況が単純生産方式である、ということだそうだ。式にすると次のようになる。ここで例えば I/v とは財Iの生産に割当てられる資源の内、可変資本vに属する量を指す。
I/v + I/m = II/c

またもし等式が不等式であり、左辺が大なりとするならば、これを拡大生産方式というのだそうだ。もしこれを一国の経済統計に照らし合わすとどうなるだろうか。2007年の日本のGDPは実質で600兆円弱、計算がメンドクサイから600兆円としよう(経済諮問委員会の予測が十兆円のオーダーで当ることは無いのだよ、諸君)。そうすると、
600 = I/(v+m) + II/(v+m) = II/c + II/(v+m) = II

というわけで消費財の総価値と等しいそうなので、これを適当な比率で各資源に分配してみよう。
II: 600 = 400(c) + 100(v) + 100(m)

ここでは搾取率(聞こえが悪いが要は分配比率であって詐欺発生率ではない)は100%となっている。今の日本の労働人口は6000万人ほどらしいので、一人頭の生産総額は1000万円ほどである。日本の平均年収は500万前後なので、実際の搾取率も (1000-500) / 500 = 100% となってこのままで問題なさそうである(何が?)。もっとも勝手に決めた分配比率は十分に疑う余地があるだろう。何が何やら謎だから。ただし少なくとも搾取率が100%なので不変資本と剰余価値は同じくらいということに違いは無さそうだ。

ところで、搾取率100%はかなり低い数値だと思うのが私の直感だ。会社の中で具体的に個人が関与して生産出来た収益は、その約2/3が本人の手取りではない。例えば内部保留だったり投資だったり経費だったり税だったり。それが無いと個人はその生産を実現出来なかったコストがその程度なのである。なので、生産額が1000万程度であるなら400万程度の年収が相場だと思うのだが。

ちなみに、搾取されたお金はどうなるか?それは貴方が使うより賢く社会の為に使われるのである。だってその余剰金が手元にあったら、ブルーレイディスクプレイヤー買ったりゲームしたり乱痴気騒ぎをするでしょう。本当は公共福祉や将来の備蓄に使わないとならんのですよ。もっともモノを買ったり遊んだりすることも蕩尽ではなくメーカーやサービス業を潤すと云えるのであるが、問題はどのセクターにいつどのように影響するのかという点である。

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