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6.24.2008

石油需給

The Oil Nonbubble (NY Times)
Calvo on commodities (NY Times)
石油価格高騰に関するクルーグマンの指摘は、これが投機筋の買い圧力によるものなら物理的な貯蓄が必要だが(高騰を続けている)ここ数年に渡って棚卸し水準に変化は無いではないか、というものである。これに対しカルボが需要の弾力性が無い場合で考えれば、物理的な貯蓄が無いことこそ価格高騰下でなお流動性がある事の反証だと言えば、弾力性が無いって流動性が無い事ですよね?と返し、指数トレーダは先物を買う事で仮想的に貯蓄を行っていると反論すれば、先物契約が将来の供給を減らすわけじゃないし、仮想的な貯蓄なんて御座いませんよと返す刀で面白い。実際に先物の買い持ちをして現物の高騰が現在まで続いた場合、一体どんな先物契約をしたらアウトパフォーム出来るというのか。また石油現物を buy and hold してる投資家が居るという想像もまた難しいだろう。

石油価格高騰について私が想像する或いは知る範囲で妥当な分析は、クルーグマンの云うように、これは需給バランスが現状に合わせて次のステージに移行しているという説である。つまり投機筋の悪辣なやり口ではないし、石油資源が枯渇しているわけでもないし、市場が完全にカオスに陥ったわけでもないし、悪の組織が何かを企んでいるわけでもないのである。これが統計的な材料から導けるもっともそうな結論である。

まず世界の中でこれまで大量に石油を消費してきたグループは、アメリカ・欧州先進国・アジア(特に日本)だが、アメリカを除きこれらの国の消費量は90年代移行一定した水準で推移している。アメリカにしても2000年以降は微増。また一方で石油の産出量は基本的に毎年伸びているし、サウジアラビアは予定より多く産出実績を出している。おまけにOPECによる石油の(推定)埋蔵量は80年代以降増える一方である。そして定性的な判断材料として重要なのが90年代、石油需要は供給とほぼ均衡する形で推移を続け、石油価格は低迷し続けた。

ところが近年圧倒的に消費量を伸ばしている国がある。インド、ではなくて中国である。ここ8年で10倍近くに増え、既にアメリカの1/3以上の消費量に上る。おまけに中国政府は国内の石油価格をかなり強引に低く抑え続けて来た経緯がある。当然これは内需発展を実現する政策だったわけである。一部の指摘で上がる原油1バレル$200というのは、この要因の上限(おそらく中国の消費量がアメリカ程度になる)として見た数値であろう。先ごろ中国政府は石油価格の値上げを発表した。これによって内需の調整が行われ、石油の買い付けに遊びを持たせようという狙いだろう。

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