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6.26.2008

サンクチュアリ

Medvedev: Graft is security risk (BBC)
国内の汚職問題を言及したメドヴェデフ大統領。外国人記者とは初となるインタビューで、プーチン前大統領との姿勢の違いを述べた。もし二人の間に軋轢があるのであれば北の大地の変化を感じないでもないが、少なくとも現時点では基本的にプーチン政権の最終段階のように受け取られても仕方あるまい。それは表の顔=メドヴェデフ、裏の顔=プーチンによるサンクチュアリである。

Transcript of Medvedev Interview (Moscow Times)
穏やかな語り口ではあるものの、メドヴェデフ大統領の狙いは諸外国との協調を通したロシア経済のグローバル化、もっと云えば帝国化にあるのではないかと感じさせるものがある。エネルギー市場の活性化を狙い半ば野放しとなった産業界に対して、プーチンは徐々に法整備と市場の健全化へとステージを移して来た。その最たる現れが、メドヴェデフへの政権交代だろう。商品価格の高騰はエネルギー大国ロシアにとって外国資本の移動を加速する。その流れにあってなお、経済原理に思想を明け渡すことはしないだろう。

Chubais hits at EU ‘fear’ of Gazprom (Financial Times)
インフレ傾向が強まるEUはガスプロムにとって重要な市場である。世界需要が中国・インドに傾いている中、EU加盟国が天然ガスの供給量を拡大したいのは間違いないだろう。しかし一方で、加盟国間で収支のバラつきが顕著になってきているEUは簡単に市場の自由度を増やすわけにもいかず苦しい状況にあると云える。かつて急速に経済が立ち上がった国で起こった悲劇のように、自由経済は適切な法整備と制限の補助レールが必要なのだ。果たしてガスプロムの制限解除要求をどの時点で飲むのか。

Gazprom Eyes Partners in Korea, Japan (Moscow Times)
サハリン2の計画見通しについて、韓国・日本に対して説明が行われた。予てより大幅な遅れと費用の増大からロシア経済(及び海外からの投資)のネックと看做されていたサハリンプロジェクトは、早ければ年度末から日本への天然ガス輸出を実現する見込みだと報じた。さらにウラジオストック近辺に第二のプラントを立上げ、韓国へのLNGの提供を計画するらしい。韓国への提供となると問題になってくるのは北朝鮮である。アメリカとの関係に注視しつつというありがちな表明にも、プーチンとの二強体勢では何か奥の手があるのではないかと疑わずには居れない。

BP in standoff with Russian partners (Financial Times)
イギリスとロシアの合弁という形で設立したTNK-BPはいま株主争いが過熱している。設立当時から持ち分の明確化が叫ばれていた会社だが、ここひと月の紛争は泥沼化しつつある。そして大統領就任後はじめてこの件にメドヴェデフ大統領が明言した。法遵守を訴えた声明の中には、メドヴェデフという存在がロシア政府のどのような構造にあるのかを感じさせるものがあるだろう。またパートナーを正しく選ばなければならないだろうというメッセージが、就任直後にプーチンと舞台に並んだ二人の姿を連想させるのである。

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