1993年より5年ごとに開催されているアフリカ開発会議(TICAD)の第4回が開催される。綺麗なお題目はともかくとして、日本側はアフリカ諸国の民主化支援を通して、国連常任理事国拡大の支持を、アフリカ諸国はODAと外交的なチャンネルの確保を、双方が望んで始まったことは明らかであろう。
国連常任理事国の改革案については、拡大以外にも幾つかある。が、何れにしてもポイントは隣国が敵対したときのセーフティネットである。その観点からすれば、日本政府にとってのホットスポットは、大韓民国および中華人民共和国との関係にあるのだから、アフリカを外交的な持駒とすることはそれほどメリットがあるとは思えない。だが今や、日本はアフリカという土地に別の可能性を見出すことが出来るだろう。ODAではない、アフリカ経済圏の支援、つまり民間企業進出の支援である。
一方アフリカも、一過的な経済支援だけではなく、持続的な改善が必要であった。それはつまり、一方的な教育支援ではなく、新たな土壌を開拓することが出来る体力作りである。自分達で問題に取り組み、解決して行ける状況が教育の最終的な段階であり、それこそ、先進各国が教育を重要政策に加える理由である。有史以来、長期的な国の発展を確実にしてきたまともな手段と言えば、教育くらいしか無かったからである。だがしかし、教育水準がその段階に至るためには、人口がより密集した、それでいて安全な地域を確保する必要がある。騎士物語時代のヨーロッパのように、手紙で意見交換をしたり、工房で文明の利器を作って社会が変動する時代では無いのである。
第1回の開催に際して、細川総理(1993年当時)は演説で次のように述べている。
我が国は、開発が「人」に始まり、「人」に終わるとの自らの経験を踏まえて、アフリカにおける人造りを積極的に支援して参ります。(中略)
即ち、アフリカ諸国政府の努力、活力あるアフリカ民衆の参加、そしてそれを支える援助国及び国際機関の支援という三本の矢があれば、
総理の演説 -TICAD I-
お定まりの政治的スピーチだと捉えられなくもないが、私はこれが寧ろ最も問題を突いていると思えてならない。アフリカ諸国が抱える根本的な課題は、それが48の諸国に過ぎず、さらに言えばアフリカ全土で上げられる僅かなGDPが、大半は南アフリカ共和国一国のものだという事実だ。人が散け過ぎているのである。ユーロに続きアフリカ諸国がアフリカゾーンとなる日は訪ずれるだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿