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12.23.2009

Fourier on Hilbert

前回の続き

果たしてFourierの着想は妥当なものだったのでしょうか?得られた係数と再構成された関数から、これを確認してみましょう。



現代的な立場で言うと、これは丁度の関数に限定した場合のみ有効です。係数を求めるのに使った正弦関数はとしてスケールすることで正規直交系を構成し、フーリエ級数とフーリエ係数は次のように与えられます。



さて、Fourierはこの手法を一歩進めて次のように考えたのではないでしょうか。三角関数の周期を[0,π]に限定しなければ、より広い問題に適用できるのではないか?正弦関数による直交関係が有効であれば、余弦関数が有効な場合もあるのではないか?1807年にFourierは仏科学アカデミーに提出した論文において、積分区間[-π,π]で正弦関数と余弦関数を重ね合わせることで、関数の級数展開が可能であると述べます。つまり正規直交系として、



を選び、この関数が供える偶奇性を利用して、次のような展開を得たのです。



この時、展開した係数は次で与えられます。



ここで現代的な見通しの為に少し表示を変えることにしましょう。先の直交系はとまとめて書く事が出来ますから、直交関係はとなりますね。Fourierの対応は次のように改めましょう。



当時既にオイラーの関係式は広く知られていましたが、これを使えば先程の正規直交系はとなります。直交関係はヒルベルト空間での内積を考えることで解決します。



これで複素領域まで広げたヒルベルト空間の関数についてFourierの対応を述べることが出来ます。



ところでFourierは熱方程式を考えていた為に正規直交系として正弦関数を発見しましたが(Fourierの研究の後にRayleighも音に関する研究から余弦関数による展開を発見しています)、他の正規直交系は無いのでしょうか?工学の分野では有限要素法などで利用する直交系にLegendre多項式があります。関数列からGram-Schmidtの方法を利用して直交した基底関数列を構成することが可能で、こうして得られた正規直交系がLegendre多項式です。直交関係は直接計算によってと確認できます。これを利用した場合にFourierの対応が有効な関数はです。

to be continued..

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